糖尿病治療の主軸は運動や薬物療法ではなく、昔も今も食事療法だ。膵臓がインシュリンを正常に分泌できなくなる2型糖尿病の対策では、膵臓への負担を減らすことが要となる。そのためにはカロリー制限が必須だが、必要カロリーは年齢や体格、運動強度などによって異なるのだ。また、自己流の食事制限は間違っていることが多く、例えば糖質を制限して不足したカロリーをタンパク質から補給し続けた結果、腎臓病を誘発してしまう人もいる。
看護師の役割は、患者が食事療法を続けられるように、無理なく実践できる方法を模索することだ。カロリーを減らしすぎると空腹感が強くなり、それが暴飲暴食の引き金になるケースもある。食欲を抑制するのは、人間にとって非常に大きなストレスだ。食事制限のストレスを抑えるためには、低カロリー食材の導入が役立つだろう。例えば、食前にキャベツの千切りを食べるだけでも、満腹中枢を刺激して満腹感を促し、食べすぎ防止に繋げられる。
看護師が患者に食事制限を提案する時は、三大栄養素の配分にも配慮する必要があるだろう。最も血糖値が上昇しやすいのは糖質だが、過度の制限は低血糖を招いてしまう可能性がある。さらに、患者が自己流の食事制限を続けると肥満や高血圧、腎臓疾患などを招いてしまうケースもあるので注意しなければならない。間食にも気を付けなければならず、多かれ少なかれ血糖値を上昇させるため多大なメリットはないと言える。ただし、間食をなくすとストレスが溜まるという人が多いことから、血糖値の上がりにくい食べ物を取り入れるなどの工夫が必要だ。