糖尿病の治療は、投薬治療や手術などを行うことで、短期間で治療できるというものではない。糖尿病に至った生活習慣を改める必要があり、その指導をするのは医師ではなく看護師だ。糖尿病の治療は、患者の生活に密接に関わってくる。患者の生活状況や人々との関わり、運動状況などを聞き出して、改善点を見つけ出していくことが必要だ。生活改善指導をうまく行うためには、患者と看護師の間に信頼関係が築かれていることが欠かせない。
信頼関係がなければ、患者から指導に必要となる生活状況を、詳しく聞き取れない事態になる可能性もある。仮に聞くことができたとしても、うまく指導できない可能性も高いだろう。患者との間に信頼関係が築けていなければ、患者は看護師からの指導に一方的に従うことになる。内容を理解していない状態での指導となるため、患者は厳密に守る気がなくなるほか、指導を破った場合の罪悪感から治療に消極的になることも考えられるのだ。
反対に、信頼関係があり患者が指導内容を理解していれば、治療に積極的な参加姿勢を示すことが多い。患者との間に信頼関係を築くには、看護師が傾聴の姿勢をとることが必要だ。患者の生活習慣を尋ねるだけではなく、なぜどのような思いでその生活習慣なのかを尋ね、傾聴することによって患者が自ら話そうという雰囲気を作ることが欠かせない。時には患者とともに改善内容を考え、一方的な関係ではないと感じてもらうことも大切だろう。そのほか、糖尿病患者への指導の際には、やる気を起こさせるようなコミュニケーションをとることが効果的だ。