糖尿病患者への指導の具体例

糖尿病の治療には、血糖値の管理のため、患者自身による生活改善が欠かせない。インスリン注射を患者が行うことも多いが、血糖値の高低によって注入量を調整しなければならない。医療の素人である患者が、自力で調整を行うのはなかなか難しいだろう。医療従事者による、きめ細やかな指導が必要だ。糖尿病看護専門外来に勤務する看護師は、糖尿病看護認定看護師や糖尿病療養指導士などの資格を持った糖尿病治療の専門家で、糖尿病患者への指導に携わっている。

まず、看護師は患者に対して、いくつか生活改善指導を行う。例えば、食べ過ぎや飲み過ぎは血糖値上昇の原因となる。また、人間関係の軋轢による精神的ストレスも、血糖値を上げるだろう。風邪や下痢などの症状がある時も、血糖値が高まることがある。こうした要因を避けるよう、看護師は個々の患者の事情に応じて具体的なアドバイスを与えるのだ。さらに、血糖コントロールを正確に実施するため、患者が自分でできる糖尿病の検査についても指導を行う。

患者が自宅で簡単にできる検査として、体重測定や血糖自己測定のほか、尿糖検査などが挙げられる。毎日の体重測定は、食事療法の目安として欠かせない検査項目だ。血糖自己測定は、自分で血液を採取しなければならない方法だが、痛みの少ない検査キットも開発されており、比較的簡単で安全に検査できるようになった。尿糖検査は、市販の試験紙を尿に浸せば色の変化で血糖値がわかる検査だ。これらの検査方法を看護師が患者に指導して、常時通院しなくても正常な血糖値を保てるよう工夫している。